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 今のところ艦これ日記が中心です。先輩提督の皆様のイベントや深部海域攻略アドバイスに深い感謝をしつつ。
 「艦これ変想」は、艦これを題材にした二次創作です。ご笑納ください。
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遠いどこかの港で 7:金平糖

艦これ変想

 季節の移り変わり。それは大海戦の到来を意味する。一昨年は年末にあったが、昨年は年末になかった。どのような作戦を大本営は考えているのかと期待と不安が入り交じった状態だった。彼女たちも似たり寄ったりで、限界まで自分達の力を出し切れる為待ち遠しくもあり、大破撤退ばかりで辛く来て欲しくないのもあり……というのが、彼女たちと軽く話をした結果感じた事である。

 先日の出来事で(このことは後々書こう)、しばらくの間、赤城達を真っ直ぐ見ることができなかったが、那智をはじめとして少なくない彼女たちがそれぞれの意見を執務室や廊下などで去り際にはらりと落としていってくれた。まだぎこちなさはあるが、むしろ赤城が自分を気遣って、あの優しい声で挨拶してくれる。
 「もうじき夜ですね、提督」
 「う、うん、ああ。午後の演習の時間だな……」瞳を直視できずに視線をそらしたら赤城の肩にあるものに気づいた「そういえば前から気になっていたんだが、肩についているそれはアンテナか何かなのかな?」
 「はい、ご名答です。方位を測定するための受信用なんですよ。ええと……そうそう、提督がよくお使いになるウィキペディアっていうのに画像はありませんか?」
 「なるほど」


 検索してみると、真珠湾へ向かう彼女の本来の姿の画像に確かに写っている。
 「ほう……この画像は勇壮だなぁ」
 「うふふ……照れてしまいます。でも、うっすら覚えています。緊張や歓声とか……安堵とか…… 飛行隊長たち……」
 先日の事で色々と「彼女たちの過去」について厳しい面を突きつけられた。だが、艦は海兵の家でもある。様々なドラマがあっただろう。笑いあった時もあったに違いない。彼女たちは本来の艦での出来事全てを入力されている訳ではないようだが、あの時のように激烈に思い出すこと無く、こうやってぼんやりと思い出してくれさえいたらと願うばかりだ。辛い過去は誰にもある。だが、幸せな時もある。辛い過去を忘れ去ることは出来ないが、幸せだった時間を思い出して濁すことはできると自分は考えている。
 「そういえば、大海戦はどうでしょう? 矢小屋の作業にも関わりますし」
 「うーん……それなんだが、2月上旬というのはいわれているんだがね。資源の備蓄は」右手を軽く振ってモニタを出す「ボーキが多少不安だが、それ以外は保つと思いたい。連合艦隊での出撃が多ければ難しいが……要求される艦種が重ければ……あとは分かるかな」
 「はい。備えあればと霧島さんが常々おっしゃってますし、矢小屋の備蓄をみんなで話し合っておきます」
 「制空というのがなあ。のどにひっかかった魚のホネのようでねえ」
 モニタを閉じ、喉に手をやった。
 「あら、そう言うときはご飯をぱくっと」
 「ボーキをぱ」
 こつん
 「もぉおおぉ! 提督までその話続けるんですかっ! 提督が着任された時にはもう解消された仕様ですっ!」
 攻略wikiを読む限り、自分が着任するまでは仕様が悪く、空母と彼女たちを使う提督は資源確保に泣かされたようである。そんな昔の話をいつまでも皆からからかわれてるという訳だ。それでぷりぷりとほほをふくらませたが、
 「でもちゃんと、提督は適時バケツを使ってくださいますものね。感謝しています」
 すっ、と両手を脇に下ろして自分に向かっておじぎした。自分は慌てて
 「い、いや、感謝されるほどのことじゃあない。兵站の基本をちゃんと守っているだけだ。大型建造をやらないことを一部に責められているが……今のまま皆の練度が上がるだけで十分戦い抜けると自分は信じている。新しい仲間も大切だが、資源を確保し、個々の練度を上げることは自分が決めた方針だ。
 ……っと」
 自分は再度モニタを開き、オブジェクトショップを表示させる。購入窓のなかから一つ選んでオブジェクトを出現させた。
 「まああ!」
 赤城は、先ほどまでむくれていた頬に手をあてて目をきらきらさせる。自分も大好きな乾パンの缶だ。左手に載せた缶を右中指でクリックすると「ぱこん」と音がしてふたが開いた。乾パンの海の中に、きらきらと金平糖の星が輝いている。自分はひとつそれをつまみ、赤城の手のひらにのせた。
 「自分にとっては、皆一人一人がこうあっていて欲しいんだ……その……うまく表現できないが」
 「……提督……ごめんなさい。ごめんなさい……」
 「また泣かないでくれよ。加賀に叱られる」
 にじんだ涙を指でぬぐい、赤城は金平糖を口にした。
 「うん……おいしいです」

 ***** ***** *****

 「那智! どこだ! 概要来たぞ!」
 翌日、とうとう大本営から発表が来た。執務室にすぐログインした自分は周囲を見渡した後、開いたままの扉から叫んだ。
 「ば……馬鹿者ッ! そんな大声で呼ぶ者がいるか!」
 先日やっと改二になって凜々しさに輪をかけた那智がすっ飛んできた。
 「官舎前に招集だ。概要だけでも発表するぞ。……遅くなった分、多分厳しいものになるに違いない。皆で支え合って凌がないとな」

 海域はトラック諸島。ミッドウェーで頭角を現したスプルーアンス大将が貴重なタンカー等を片っ端から撃滅した場所である。しかも、追い打ちまで仕掛ける始末。つまり……それだけ厳しい戦いが待っているということだ。全員が見ることが出来るよう拡大したモニターに、自分が把握し、想定している今回のトラック諸島大海戦の概略と略図を表示させる。晴天の下でも彼女たちがざわつく声が分かる。攻め入るのではなく包囲網から抜け出し、追い打ちをかけてくる敵を振り切って安全地帯へ移動完了させるという突破戦に、彼女達は小声で不安・決意・悩み等々を隣同士と話し合っているようだ。

 史実にうとい自分だが、トラックから脱出するのが第一の目的になるだろうと予想した。そして、スプルーアンスがけしかけたように、追い打ち、イコール、追加作戦があるとも感じた。
 そして同時に、複数の新顔がやってくるかも知れないということも知らせた。その一人はドイツ生まれの潜水艦であろうと。これは、昨年末に、ボカシ入り大本営の書類が情報誌に掲載された頃、先輩提督と現実世界で話した折に先輩が「呂-500だろう」と予想していたので分かっていた。むしろ、その予想が出来る先輩提督の知識にいつも感服するのだが。負担が減るであろうまるゆがホッとする表情を自分は見逃さなかった。その他にも新規に救出出来る娘も来るらしい。
 「今回も前回の大海戦同様、進路決定に那珂などのトラックに縁がある者が関係してくる可能性は非常に大きいと自分は予想している」
 「えーーーーーーーーー! 那珂ちゃんいやですぅううううぅうう!」
 「大丈夫だろう? 潜水艦をバンバン沈めて今では軽巡主力の一人じゃないか」
 「ストーカーなファンはいやですぅううぅううぅう!」
 「……」

 一応の説明が終わった後、自分がいつも頼りにしている面々と、先ほど名前を挙げた彼女たちに会議室に集まってもらった。
 「また制空値? 索敵値?」
 加賀である。そう。それがやっかいなのだ。加賀の装備積載量が多いためにそれらの値を高めるには彼女を使う事が必然となる。その上、制空を気にしすぎて艦爆でダメージを与えることを選びにくい。
 「この2年でずいぶん変わってしまいましたね」筑摩が姉を見、改二になってガラリと変わった制服をちょっとつまんでつぶやいた。
 「わしらが活躍する分にはいいじゃろ」
 「装備の開発がなあ…… 電探が厳しいんだ」会議室用モニターに自分はいくつかの要点や図をまとめて表示させた「水観はギリギリ間に合うと思う。電探は、支援部隊には22号しか持たせてやれないのが辛いな。烈風改が1つしか無いのも……申し訳ない」
 「……その分、お役に立ちますわ」
 黒絹の髪をゆらし、自信に満ちた瞳が自分を見上げる。扶桑だ。姉妹共々改二になり、瑞雲12を持ってきてくれた。そして第一海域5図面や西村艦隊に関わる作戦で活躍している。もう、部屋にこもって冷たい言葉さえ投げかけてくれなかったあの日々は無い。
 「私達姉妹の分で制空は少し。その分、彩雲なり爆撃機なりを」
 「ああ、そういう風に組む事ができたらそうしたい」自分は一端言葉を止め、軽く頭を下げた「……咲いたな、桜が」
 「ええ」にっこりと山城が笑う「姉様……」
 「そうね、山城」
 「姉妹仲がいいのは良いことじゃあないか、んんん?」
 武蔵が自分にすり寄ってきた。男性ならばあらがえぬ感触が身体の左半分に伝わってくる。自分はわざと大きなため息をついて
 「大海戦前に大型建造を回してくれという馬鹿者がいるんだが、どうするかな? 那智
 と、言った後しまったと思った。が、遅すぎた。
 「ん? 回さないだろう。アイオワニュージャージーが何になるかは分からんが、戦艦が来ることは間違いない……と、思う」
 「……」
 一同、那智の現実味あふれる意見に互いの顔を見合わせるしかなかった。が、このとき回さなくて正解だったというのはある。

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 実は、以前から書きかけたものが幾つかあるのですが、うまく続けることができないまま放置してました。今日、ふっと新しく書いてみたらスルッと抜け出せたのでアップしてみました。今回の作戦前の様子というか、大海戦前はこんなんだよっというのを少し。本当は出陣前に色々気合いを入れたりするのとかも書きたかったのですが、ずるずる続きそうだったので切りが良いところで止めました。

 赤城が何故過去の記憶で取り乱したのかは後々書きたいと思っています。このネタは変想を考えた当初からあって、それをどう料理しようか未だに考え中です。

 金平糖が入っている乾パンが自分は好きです。甘いものは兵士には欠かせませんよね。それに、少し塩気が強く、乾燥して堅い乾パンを食べやすくするための唾液を出す役割もあると思います。

 扶桑山城姉妹がすねているのは以前チラッと書きましたが、今回は改二になって頼もしい二人を少し出しました。これも書きかけがあり……あはははー

 イベント終了日までまだ時間があります。資源やバケツが不安な方、一端資源遠征に注力したり、(長距離遠征や警備、海上護衛をガンガン回し、潜水艦でオリョクル)違う事をして気分転換されてはどうでしょう。自分もE-5乙を数日以上かけてクリアしています。そして、しっかり3回キラづけ。支援もガツンと。

 がんばって。ただただ、それだけです……